鉄道と二輪とわたし

30半ばにして二輪免許取った女がモテないことばかりしてるブログ

PERFECT DAYSという映画を見てきたよ

ちょっと仕事が早く終わって、このまま帰るのもなぁ…なんてときに映画というのはとてもちょうど良いものなのです。

スパッと終わって余韻に浸りながら一人帰る心地よさ

今回の「PERFECT DAYS」はまさに心地よい余韻をプレゼントしてくれました。

 

寄り道場所と時間がピッタシだったのでこの映画を見よう!と思って見たものではありません。前知識は

カンヌ

役所広司

トイレ掃除

くらい。映画の知識はまったくないので監督とかどの賞とかは全く知りません。

 

役所広司さん扮する平山さんは東京のトイレ掃除をして生計を立てている人なのですが、住んでいるところもオンボロアパート、そしてトイレ掃除という、仕事に貴賤はないはずなのですが泥臭さをどうしても感じてしまうのですが、平山さんの要所要所に見える几帳面さと東京の公衆トイレの中でもデザイナーズトイレが対象なので不快さを綺麗に払拭していました。しかしトイレ掃除が映画になるってすごいな。

 

毎日決まった時間に起きて仕事をし、銭湯に入って呑み屋で一杯、眠くなるまで本を読んで一日が終わる…幾度となく繰り返される日常がいつしか自分の毎日とリンクされていきます。ETCのついたカセットが聞ける車、スカイツリーが出てくるのに平山さんの生活は少し時代に取り残されているようで、そこがいろいろな世代の人と重なるようです。同じことの繰り返しの中でも少しいつもと違う出来事が、平山さんの人柄や過去に彩りを添えていきます。

 

起承転結があるわけではなく、映画も美術だと思えるくらいのアーティスティックな作品でした。車で移動するときだけ流れる音楽が、東京という街だけしか移動しないのにロードムービーを彷彿とさせます。いつもと同じ、少し違う出来事が混ざる何気ない日常。平山さんがいつものように出かけるシーンで物語は幕を閉じるのですが、その続きはあなた(わたし)に託したよ、とバトンを渡された気分でした。

 

いい意味で余白を残してくれた映画でした。監督の意図とか汲み取れているか分からないけれど、わたしが感じた感想はわたしだけのものと思える、帰り道をロードムービーの一幕に加わっているような気持ちの良い酩酊感を感じられました。

 

星4.5ですね。5にしないのはまだ自分に刺さる映画があるんじゃないかという期待があるのでつけないから、ほぼ満点